せっかく出かけたのに雨だしお店閉まってたし、良いことないなぁと思いながら、駅ロータリーのタクシーをボーっと眺めていたら、昔の事件を思い出しました。
もう10年以上前の話になりますが、当時わたしは大学生で、駅から徒歩25分のアパートで一人暮らしをしていました。
その日の夜、駅からアパートまでの帰り道、仕方なくタクシーを使うことにしました。大学の制作で使った荷物が多すぎて腕がちぎれそうだったからです。
やさしそうな感じのいいおじさん運転手でした。わずかな乗車時間でしたが、楽しくおしゃべりをしました。
上京したてであまり擦れていなかったわたしは、なんの抵抗もなく軽い身の上話をしていました。
運転手「お嬢ちゃんいくつ?大学生?」
ワト子「二十歳です!大学生です!」
運「若いね~。○○大学の学生さん?実家はこっちのほう?」
ワ「あ、そうです○○大学です。実家は△△県なんです。一人暮らしなんですよ~。」
運「じゃあアルバイトとか頑張らないとだ。大変だね。頑張ってね。」
ワ「そうなんです。こっち慣れなくてなかなか大変で。(いい人だなぁ)」
運「いい話聞けたよ。お嬢ちゃんが今日乗ってきてくれたのも何かの縁かもね。」
ワ「(?)そうですね。もう一回乗ったら本当の縁ですね(←自分でも意味不明の発言)」
アパートの前で停めてもらいました。料金を払おうとした、その時です。
運「あのさ、お代はいいからさ、そのかわり、このあと…どう?」
ワ「ん?え?」
運「いや、もし良かったらご飯でもどうかなと思って。」
ワ「え?いやー大丈夫です。おいくらですか。」
運「…(無言)」
料金を教えてくれないし、ドアを開けてもくれないので、これはヤバイと思い、1000円置いて急いで降りました。
とっさに、「家バレしてる!カモフラしなきゃ!」と思ったので、部屋には入らず違う方向に早足で歩いて隠れました。
15分ほど経ってから様子を見に戻ると、もういなかったので、部屋に入りました。
時間が経つにつれ、怖くて鳥肌が立ってきました。
運転手のあの眼が、ちらつくのです。
「実はあの後わたしが部屋に入るまでどこかで見ていて、来たらどうしよう」
「この街でまた会って、あとをつけられたらどうしよう」
「そもそもわたしのこと前から知っていて、部屋も知っている人だったらどうしよう」
「あのとき、降りれずにすぐに発進されてたらどうしよう」
それからしばらくの間は、こんな不安が付きまとっていました。
家の前でタクシーを停めない、というのは、都会では当たり前のこととはまだ知りませんでした。
今思えば、ナンバー・氏名・会社名を見ておけばよかったし、近所の交番のお巡りさんに相談しておけばよかったです。
とにかくその時はテンパってしまい、何もできませんでした。迂回して帰ることが精いっぱいでした。
当時よりGPSが当たり前になっているし、そんなアホなことをする運転手さんはいないと思いますが。世の中の99.99999...%の運転手さんは真面目に日本の交通を支えていらっしゃると思います。
でも、特に若い女性(特に酔った子)は、一人で利用する際は注意するに越したことはないです。
自分で言うのも悲しいですが、結構ブサイクなのに、若かったし(身の上話で)お金欲しそうだってバレたから狙われたんです。
今の時代は自分から氏名を名乗ってくれるタクシー会社もありますが、わたしが利用する際は、氏名・会社名は見るようにし、乗車したことと場所を家族に伝えています。
みなさんも、もし家族や知人に上京したての子がいたら、タクシーの件に限らず、都会で注意すべきことを教えてあげてください。たとえ、「都会の人ぶってる、うざい」と思われてもです。
事件が起こってからでは遅いです。
タクシーというあの狭い空間では心をゆるしがちですが、ネットと同じで、簡単に個人情報を公開してはいけません。
そういえば、アイツ「お代はいいからそのかわりに」、って言ってたけど、1000円安すぎじゃね?!?!